「痛風は贅沢病だ!」
少し年配の人にはこう言う人がたくさんいます。
ところが、最近ではこの言葉は当たらなくなってきました。アメリカでも、痛風は裕福な階級よりも、手軽で高カロリーの食品を多く摂取する低所得者に増えています。
食べるものも満足に食べられなかった昔ならまだしも、今は、おいしいものを少し食べるのがぜいたくとされる時代です。過食の産物といえる痛風は、逆に口のいやしさの証明になってしまいました。痛風は、関節や腎臓に尿酸がたまり、関節に激痛をおこさせる病気です。痛風
尿酸がたまる原因には、遺伝性の体質とともにプリン体を含む食物の過剰摂取、それに肥満、飲みすぎ、ストレス、脱水、過激なスポーツなどがあるとされています。
プリン体を多く含む食べ物には、もつ類、イワシの油漬け、キャビア、肉類、豆類、ビール、日本酒などが代表的です。
もっとも、キャビアはともかく肉類や豆類は重要な栄養食です。痛風にいけないからといって完全に制限してしまったら、抵抗力が落ちてしまいます。痛風の治療は長びくことが多いものなので、せいぜい食べすぎに注意するくらいにしておいた方が賢明です。
それに、食べ物から摂取した尿酸が血液の尿酸値に占める割合は10%程度。極端な食事療法はたいして意味をなさないのです。
痛風で有名なのは、元西武ライオンズ監督の広岡達朗氏。選手には玄米食を強制しながら、自分は陰でたらふく肉を食っていたに違いないなどと、ずいぶん悪口も言われていました。だが、これまで説明したように、痛風イコール贅沢病は違います。やせ型の広岡氏は、食べものよりもむしろ体質やストレス、過激なスポーツなどが原因でしょう。
痛風は予備群を含めると600万人にもなる国民病です。