最近はカラーアナリスト(色彩分析家とでも訳すのだろうか)などという職業の人まであらわれて、身の回りの色についてもずいぶん気を使われるようになりました。
例えば、医師や看護婦の着るのは白衣と相場が決まっていましたが、最近では薄いブルーやベージュなどの診察着を着ているナースや医師もふえてきています。
色が人間の心理に及ぼす影響は決して無視できないほどの影響を与えます。例えば、自動車事故を起こす車の色は、紺がもっとも多く、逆に赤や黄色の車は事故が少ないのだそうです。これは赤や黄色の車が目立ったり、大きく見えたりするのとともに、人間に対して警戒心を抱かせるからでしょう。
色に関してもっと気を使うべきであるのは、部屋の色。例えば、1人暮らしのおばあちゃんが、小さなマンションに引っ越したところ、訳もなく気が滅入るようになってしまいました。なぜだか分からないけれど、あるとき遊びにきたお孫さんの言葉で、その理由が分かりました。
お孫さんはこう言ったのです。
「おばあちゃん、この部屋の色、暗いね。憂うつになっちゃうよ」
マンションの壁はシックなグレーで統一されていました。
加えて、おばあちゃんの家の家具はくすんだ茶色が多いものでした。私はこの目で部屋を見た訳ではないのですが、灰色と茶色に囲まれた暮らしは何とも陰気な感じがするのは当然です。
その後、おばあちゃんは壁の色を薄いベージュに塗り変え、気分もようやく明るくなりました。暖色系の色は、暖かさや明るい気分を与え、寒色系の色は、冷たさや落ち着きを感じさせるのです。