胃のバリウム検査は、全国の健診機関で毎年行われています。しかし、胃のバリウム検査で、どの程度の放射線被ばくするのかは、あまり問題視されていません。
現実には、無視できないレベルの放射線被ばくをしています。胃のバリウム検査では、撮影台の上に乗って機械を動かしながら撮影をしますが、その間、ずっとX線を照射しています。撮影しないときでもX線を照射し、レントゲン技師が体の中を透視しながら、撮影のタイミングを計っているのです。
そして、ここだ、というところで撮影を行います。なじ同様に健康診断ではお馴染みの胸部X線撮影も体にX線を照射して撮影を行いますが、X線を当てるのは、撮影する際の一瞬です。
一般に、胸部X線が1枚分なのに対して、胃のバリウム検査では、150枚から200枚分の放射線を被ばくします。
移動式検診車の被ばく量はさらに上昇
さらに、移動式検診車では、被ばく量が格段に増えてしまいます。会社の駐車場などにバスのような検診車がやってきて、胃のバリウム検査を行うケースがあります。このときに使われるのが移動式検診車です。
通常の胃のバリウム検査の場合、撮影台の裏側に放射線を照射する装置が付いています。しかし、スペースの限られた移動式検診車では、それができません。そこで移動式検診車では、間接撮影という方法が使われています。この場合、放射線の照射装置は、患者から離れた検診車の後ろのほうなどに設置され、そこから放射線を照射します。
遠くから照射す るのですから、必然的 に強 い放射線でなければ、撮影ができないということになります。
放射線の量は距離の2乗に比例します。たとえば、距離が2倍になれば2×2 で4倍、距離が4倍になれば4 ×4で16倍の放射線量になるのです。
実に恐ろしい話ですが、その最大の被害者である受診者は、その事実を知らされていません。英国の医学雑誌「Lancet」が、日本は世界で最も放射線被ばくによる発がんが多い国だと報告しています。
健康診断による放射線被ばくを考えれば、あながち間違っているとはいえません。しかし、改善される気配さえないのが実情です。
裏をいってしまえば、検診会社は胃のバリウム検査が飯のタネなのです。移動式検診車もあれば固定の検診センターもありますが、ほとんどが胃のバリウム検査です。多い所で1日に100人くらいの検査を行います。
レントゲン台が何台もあり、レントゲン技師が付いていて流れ作業で検査をしていきます。もし、胃のバリウム検査がなくなったら、検診会社は大変でしょう。胃のバリウム検査がなくならないのは、そんなことも関係しているかもしれません。
胃のバリウム検査は、検査被ばくと医療費の無駄遣いという2つのデメリットを抱えながらまったく改善されていないのです。
では、実際に胃のバリウム検査を回避する方法があるのでしょうか。それには、ペプシノーゲン法というものがあります。胃の萎縮が進行すると胃がんになることが知られていますが、ペプシノーゲン法は、血液検査で胃の萎縮度を判定します。まずはペプシノーゲン法で血液検査を行い、胃の萎縮が進行していることがわかった人は、胃の内視鏡検査を受ければいいのです。それで胃のバリウム検査を回避することができます。
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