ながら作業がよくないということですが、音楽を聞きながら仕事をするのはダメなの?
音楽もうまく使えば、作業がはかどります。ながら作業をして脳に2つ以上の課題を強いることをなるべく避けましょう、と主張する専門家もいますが、音楽をかけながら仕事をした方がはかどるという方もいらっしゃると思います。
良質な睡眠をつくるためには、基本的には、脳に情報を入れすぎないことが大切ですが、複数の情報によって脳内の活動が豊かになる場合もあります。「多重感覚入力」と呼ばれ、1 つの作業が別の感覚によって、補助されるものです。
音楽を聴きながら作業がはかどる1つの要因は、テンポによるものです。パソコンのキータッチや皿洗いなど、リズミカルに作業をこなす場合に、その作業のテンポを外部から補うことによって、よりテンポ良く作業をこなすことができるという作用です。
また、あるジャンルの音楽をかけていると、そのようなキャラクタ一になりきり、作業がはかどるということもあります。パンクロックをかけながらどんどん物を捨てる作業をしたり、ラウンジミュージックをかけながら旅行プランのチラシを作成するなど、音楽によって、自分の行動から喚起される感情が豊かになり、それがまた行動の精度を高めていくという作用です。
どちらの場合でも、2つ以上の情報が脳内でうまく組み合わされ、より高いパフォーマンスを発揮するために非常に役立っています。ながら作業を問題視するのは、こういった場合ではなく、不必要な場面でマルチタスクをつくつてしまっていることです。
音楽やテレビをかけていないと眠くなつてしまう、とか、なんとなく音がないと物足りないから、という理由で、ながら作業をされている場合は、生活の中でできる部分だけでも、不必要な情報をカットしてみましょう。
脳のハイパフォーマンスには、脳に入る情報を足したり引いたりしながら、適切な作業環境をつくることが大切です。