世間には 「 名医ランキング 」 と呼ばれるものが数多く出回っています。その中に登場する名医は、ほとんどが大学教授や大病院の部長です。開業医はほとんどいません。
開業医には名医がいないのでしょうか。そんなことはありません。「名医ランキング」の判断基準には疑問を感じずにはいられません。もしも、大学教授や大病院の部長イコール名医と判断しているのであれば、大変な間違いです。
大学教授や大病院の部長には、優秀な医者が多いのは事実ですが、すべてが名医かというと、そうとはいい切れません。では、名医の条件とは何でしょうか。診療実績以外には、ないでしょう。患者とどう向き合い、治療してきたのか、その実続こそ、判断材料とされるべきです。
少なくとも名誉や肩書ではないはずです。読者のみなさんも大学教授と聞けば、さぞかし優秀な医者だと思ってしまうでしょうが、必ずしもそうではないことを知っておいたほうがいいでしょう。大学教授に就任するには、教授選に立候補し、教授会で選ばれなくてはいけません。
教授選に立候補するには、臨床経験よりも論文の実績が重視されます。研究論文には、主論文と副論文の2種類があります。主論文はトップオーサーといって、自分が筆頭になる論文のことをいいます。
主論文は最低でも50本必要です。臨床研究だけで主論文を50本も書くことはできません。しかも、大学では、臨床研究は基礎研究よりレベルが低く見られます。したがって、主論文のほとんどが動物実験による基礎研究になるのです。有名な話があります。ある有名国立大学医学部で、外科の教授になるために手術をしないで動物実験ばかりを行っていた医者がいました。そして、数多くの論文を作成して、教授になったのです。
教授になった途端「これから思い切り手術するぞ!」と宣言したのです。それまで、人間の体にほとんどメスを入れたことがなかった医者でも、教授になれば、自分の裁量で術者を決定できますから、そんな宣言もできるわけです。その教授に切ってもらう患者は、たまったものではありません。モルモットにされてしまいます。
大病院の部長も同じです。必ず名医かというとそうでもありません。というのも、大病院というのは大抵どこかの大学の系列病院となっています。大学で定年が近くなった万年講師や准教授が天下りで部長になることが多いのです。つまり、名医本の名医はあまりあてにならないということになります。それではどのようにして名医を見極めたらいいのでしょうか。
それは患者の口コミです。信頼できる友人、知人、親族などから得られる情報が一番正確です。企業でも起業して成功するのは、元サラリーマンですよね。医者でも同じことです。昔、開業医は大学の医者から馬鹿にされていましたが、繁盛している開業医の中にこそ名医がいるはずです。
現代医療を非常識な視点で見る