「健康のためにアルカリ食品をどんどん食べて、体をアルカリ性に保ちましょう!」とは、ここ数年来の食品、薬品メーカーが口を揃えます。酸性食品はすっかり悪者になってしまいました。
この考え方があっという間に多くの人に侵透したのは、酸性、アルカリ性という区別を誰でも知っていたからかもしれません。リトマス試験紙を使っての実験。これは、小学校でいちばん最初にした実験かもしれません。懐かしい思い出とあいまって、酸性、アルカリ性という言葉を覚えていない人はほとんどいないほずです。
加えて、酸性という言葉は、塩酸だとか硫酸をイメージさせ、血管をボロボロにするような気がしてくる。逆にアルカリ性は体にやさしい感じです。
こうしたことから、アルカリ食品、アルカリ飲料は、人気急上昇中です。
しかし、これらのアルカリ食品は本当に人間の血液をアルカリ性にしてくれるのでしょうか?
そもそも人間の血液は、腎臓の働きによって、弱アルカリ性に保たれています。これは、朝、酸性食品をたっぷり食べたから、血液も酸性になるというほどいい加減な仕組みではありません。
確かに血液が酸性に傾くことはあります。しかし、それは腎臓の働きが悪化したためであって、酸性食品を食べ過ぎたからではありません。
肉や卵は、酸性食品です。これらにはコレステロールが多く含まれ、多量の摂取はあまりおすすめできません。おそらく、このあたりのイメージともごっちゃになって、アルカリ食品ブームが起きたのでしょう。
基本は、いろんな栄養素を偏らずに幅広く摂取することである。あとは、人間の体がちゃんと健康体になるべく働いてくれる。昔のおばあちゃんがよくいった「なんでも好き嫌いなく食べなさいよ」という言葉に付け加えるものはないのです。
ちなみにアルカリ性食品の王様は、梅肉エキスです。