あなたが40歳を過ぎて未婚で、握力が弱かったら、長寿を謳歌するのは難しいかもしれません。いくつかの大規模な健康追跡調査の結果から、意外な「短命へのリスク」が明らかになっています。
短命へのリスク9つ
米国の研究チームは、ハワイに住む45歳~68歳までの元気な日系男性5820人を、1965年から40年間、追跡調査した。浮かんだリスクは以下の9項目。
- 高血圧
- 肥満
- 高血糖
- 高中性脂肪値
- 喫煙歴
- 握力39キロ未満
- ビールを1日換算で1リットル以上
- 学歴が高卒未満
- 伴侶がいない
一方、6項目以上当てはまった人の約8割は、85歳前に亡くなったというのです。高血圧や肥満や深酒で寿命が縮まるのはわかる気がしますが、「握力」「学歴」「伴侶」と寿命の因果関係はにわかにピンとこないかもしれません。
握力・学歴・伴侶
まず握力は全身の筋力のバロメーターで、筋力が弱いと足腰も内臓も早く衰えるから寿命を左右するのです。広島の「放射線影響研究所」では、日本人男女約5千人の握力と寿命の関係を約30年間追跡し、「男女とも握力が5キロ強くなるごとに死亡率が10%以上低くなる傾向があることを発見しました。
握力の強い人は全身の筋力も強く、筋肉量が多いと、糖やたんばくの代謝もスムーズです。身体をよく動かすと筋力が維持されるので、握力は運動量の目安にもなる」と報告をしています。
学歴と寿命についての研究は、米ハーバード大学医学部、韓国続計庁の3万人調査、WHOによるロシア人の学歴と平均寿命の分析などがあります。
結論は「教育レベルが高いほど、健康の知識も豊かで喫煙率が少ないことがわかりました。生活のゆとりもあるので、健康管理がゆき届くというわけです。社会的な格差は、寿命にも大きく影響するということです。
そして「伴侶」についてです。05年の日本の人口続計資料集(国立社会保障・人口問題研究所)は40歳時点で未婚の男女は一生結婚しない確率が高く、既婚者より平均余命が8歳以上短い。と報告しています。また厚労省は93年から10年間、日本各地の男女約4万4千人を追跡調査して一緒に暮らす家族や気を許せる友人など、社会的な支えの少ない人は脳卒中で亡くなる率が高い。と結論づけました。
独身ライフは精神的にも食や健康管理も不安定になりがちで、病気の時も身近に頼れる人がいないケースが多いことなど、平均寿命の大差につながるようです。元気に長生きしたいなら、まずパートナーを見つけて、よく体を動かすことが大切です。