風呂のお湯は、高血圧に対して、両刃の剣になってしまいます。血圧を上げる作用と、血圧を下げる作用とがあるからです。
問題は風呂の温度にあります。
熱いお湯は血圧を上げ、ぬるいお湯は血圧を下げる傾向にるのは言うまでもありません。つまり、高血圧にお風呂がよくない、とばかりは言えないわけです。
https://constipation-guide.net/cold/?p=188
ところが、高血圧なのに熱いお風呂が好き、という人が多い。これには医者も困りはてています。入った瞬間かなり熱いと感じるのは42~43度。この熱いお湯では、入った直後に血圧が急上昇します。最高血圧が170 mmHGくらいの人が一時的に180~190 mmHG になることもあります。
その後、上った血圧はいったん低下するのですが、しばらくするとまた上昇を始めます。さらに熱いお湯の45度くらいでは、最高血圧がいっべんに30~40m mHG も上昇するというデータもあります。高血圧の人にとってほ、とても危険だということです。
これに対して、体温と同じような36 度くらいのお湯では、よく不感温度浴という言葉が用いられますが、血圧が低下することは明かです。しかし、一般的に不感温度浴というのは「入った気がしない」し、気分的にも湯ざめしてしまうでしょう。
極端に無理する必要もないでしょう。従って、高血圧には、比較的ぬるめの40度前後のお湯が望ましいのです。いわゆる半身浴です。
日本人の風呂好きは世界にも類をみないレベルです。入浴には疲労感を取り除き、気分転換をはかるといった心理的効果もあります。日常生活の潤滑油とでも言える存在です。また、温熱効果として、血液循環を盛んにし、新陳代謝を高めます。そのほか水が体に及ぼす圧力(静水圧)や浮力なども、人体に生理的に好ましい影響を与えることがわかっています。
風呂の上手な入り方を知っていれば、高血圧の人でも入浴はさしつかえないでしょう。冒頭で両刃の剣と表現したのはこのためです。「カラスの行水」と呼ばれる入浴の仕方はおすすめできません。熱いお湯にドボンとつかってすぐ出たのでは、せっかくの効用も効かずじまいです。
最近は温泉ブームで、家庭用にも温泉銘柄の薬用入浴剤が売り出されています。
温泉気分で、ゆっくりと温ぶねにつかることが効果的です。心身ともに入浴の効能を満喫できるでしょう。さて、高血圧の人にとって、もうひとつ注意しなければならないことがあります。お風呂場と脱衣室の温度差です。
脱衣室が冷え込んでいるときは、温まった体が、急に冷気で冷やされて、血圧が急上昇する危険性があるのです。冬の寒い夜、トイレに起きて、脳卒中の発作を起こしたという例が多いのですが、同様の危険性が考えられます。自分の健康状態をよく知って、入浴を効果的に利用していただきたいのです。そしてへ入浴方法も注意すべき点をチェックする必要があるのです。
42度以上のお風呂は心臓に負担がかかる、最適の湯温は38~40度